☆DiMAGE A1について 〜DiMAGE A1の画質について〜 DiMAGE A1の画質は，解像力が高く，細かいディテールまでよく再現しています。つまり，さすが500万画素！という感じの画像です。その一方，よく言われるのが，色合い（発色）についてです。カラーモードsRGB（ナチュラル）において，条件がいいときには，それなりの発色をしてくれるのですが（サンプル１），条件が悪いときには発色がイマイチなのです（サンプル２）。
見て分かると思いますが，左側のサンプル１は，くっきりとしたきれいな発色なのですが，右側のサンプル２は，地味でねむたい発色なのです。両方とも，「ｶﾗｰﾓｰﾄﾞsRGB（ﾅﾁｭﾗﾙ）」「ﾎﾜｲﾄﾊﾞﾗﾝｽ AUTO」なのですが，このような違いが出てしまいます。ただ，サンプル２ついても，画像補整さえしてやれば，きれいな発色の画像に画像になります（サンプル３）。
私自身の個人的な考えなのですが，DiMAGE A1の「ｶﾗｰﾓｰﾄﾞsRGB（ﾅﾁｭﾗﾙ）」の狙う色合いは，撮影者の記憶に残っている記憶色よりは，撮影者が目にした色彩に忠実な色再現を狙っていると思います。（人間の記憶は，実際の色より鮮やかに記憶されているそうです。そのため，実際の色合いを忠実に再現すると，色合いが地味で彩度が低く感じられるそうです。） デジカメ（特にコンパクトデジカメ）の多くは，記憶色で表現しています。そのため，忠実な色再現を狙っているDiMAGE A1の発色が地味に感じられるのだと思います。それでも，DiMAGE 7シリーズの愛用者から見れば，だいぶ記憶色よりになったという話しです。記憶色より忠実な色再現の方が優れているのは，彩度やコントラストなど色合いは地味になるのですが，あとで画像補整（レタッチ）のしやすい画像になります。つまり，DiMAGE A1は画像補整をすることで，完成度の高い画像を作るというタイプのカメラなのです。 このように，「ｶﾗｰﾓｰﾄﾞsRGB（ﾅﾁｭﾗﾙ）」においては，画像補整をすることが前提になるために，画像補整をしなくても鮮やかな写真が撮れるのが当たり前だと思っている人〜例えば，コンパクトデジカメからステップアップしてきた人達〜にとっては。？？？だと思います。前にも述べましたが，コンパクトデジカメは記憶色で表現しているために，発色の良いきれいな画像が当たり前のように作られるのですから。 ただ私のように，今までずっと，銀塩（つまりフィルム）→フィルムスキャナでデジタル画像をつくってきた人間にとっては，画像補整をするのが当たり前だと考えます。フラットベッドスキャナ（エプソンなど）のフィルムスキャンはどちらかというと，そのままでも使える色再現性をしてきます。一方，ミノルタ製のフィルムスキャナ（私はをずっとミノルタ製を使っています）は，だいぶ再現性が上がってきていますが，画像補整を前提とした画像をつくるように設定されているようです。 つまり，「ｶﾗｰﾓｰﾄﾞsRGB（ﾅﾁｭﾗﾙ）」は，銀塩（フィルム）→フィルムスキャナから来た人達や，レタッチ派の人を対象にしていると思います。レタッチするときは，色をのせていくのはやりやすいのですが，色を落ち着かせる方が，実は難しいので…。 今まで述べてきたことから分かることは，「ｶﾗｰﾓｰﾄﾞsRGB（ﾅﾁｭﾗﾙ）」は，デジカメを使用する観点からいうと，実はマニアック（通好み）な設定だということです。そのマニアック（通好み）な設定が標準設定になっていることが，「発色が地味，きたいない。」という，このカメラの評価をつくっている原因だと思うのです。では，このカメラでは，特殊な設定となっている 「ｶﾗｰﾓｰﾄﾞsRGB（ﾋﾞﾋﾞｯﾄﾞ）」はどうなのか？実は，「ｶﾗｰﾓｰﾄﾞsRGB（ﾋﾞﾋﾞｯﾄﾞ）」が，デジカメ的には標準設定ではないかと思うのです。ｓRGBの「ナチュラル」と「ビビッド」を比較した画像を載せます。（サンプル4,6,8がﾋﾞﾋﾞｯﾄﾞ，5,7,9がﾅﾁｭﾗﾙ）
橋のあたりを見ると，ﾋﾞﾋﾞｯﾄﾞの方が鮮やかな感じがしますね。
２つ比べてみると，ﾋﾞﾋﾞｯﾄﾞの方が明るくクッキリしており，ナチュラルの方がくすんだ感じがします。
全く同じでところを撮っていないので，比較しにくいのですが，それでも，鮮やかさの違いが分かると思います。サンプル９を画像補整するとビビッドに近い色合いになります。（サンプル10）
このように見ていくと，デジカメらしい記憶色の色合いが欲しい場合には，「ｶﾗｰﾓｰﾄﾞsRGB（ﾋﾞﾋﾞｯﾄﾞ）」の方がいいのではないかと思います。そして，落ち着いた色合いが欲しいときや，色飽和を起こしそうなときには「ｶﾗｰﾓｰﾄﾞsRGB（ﾅﾁｭﾗﾙ）」で撮影すればいいと思います。そのために，「カスタムポジション」の初期設定は，わざわざ「カラーモード」になっているのだから…。 と，いうわけで画質（色合い）については終わりなのですが，なぜ？sRGBのカラーモードの表現と設定をこのようにしたかということが，少し疑問に感じます。7iや7Hiの頃の標準・ﾋﾞﾋﾞｯﾄﾞ表現よりは，A1のナチュラル・ビビッドの表現の方が分かりやすいですが，標準設定（初期設定のまま）では，ナチュラルが標準になっています。ライバル機？のCyber-shot F828では， ・スタンダードモード（標準）…記憶色の色合い ・リアルモード…撮影者が目にした色彩に忠実な色再現 レタッチする事で，完成度の高い作品が作れる となっています。少し強引ですが，F828の標準設定である「スタンダードモード」が，A1では「特殊モード」のビビッドであり，F828の通好みモードである「リアルモード」が，A1では「標準設定」のナチュラルとなっているのです。どちらが，普通の人にはわかりやすいか…。このへんが，ミノルタの商売下手なところでしょうな…。 と，いいつつ，私自身は，画像補整（レタッチ）するのが当たり前という感覚なので，ナチュラルを中心に使っています。ビビッドは，鮮やかなものを鮮やかに撮りたい時（出来るだけ補正せずに…）に使っています。 〜広角時の歪曲〜 DiMAGE A1に付いているGTレンズは，基本的にはDiMAGE 7シリーズのキャリーオーバー版ですが，A1でようやくボディーがレンズ性能に追いついたといわれるぐらい高性能なレンズです。13群16枚（異常分散ガラス２枚，非球面レンズ２枚）という凝った作りで，色収差をはじめ各収差がよく補正され，解像度も良いという，結構評判のいいレンズなのです。 ただ，このレンズを使用していて感じたのは，広角時の歪曲です。結構目立つので，気になっていたのですが，やはり掲示板等でいろいろ書かれていました。結果的には，35mm換算で28-200mm相当ですが，実際には7.2-50.8mmの７倍ズームなので仕方がないのかなと思っています。それに，Kiss DigitalにレンズキットのEF-S 18-55 F3.5-5.6を付けて，18mm（35mm換算で29mm）でのぞいてみたところ，A1とそんなに変わらない歪曲でした。確かにEF-S 18-55は廉価版ズームですが，EF-S 18-55は３倍ズーム，A1は７倍ズームということを考えると，やはりあの程度の歪曲は仕方がないと考え，あとは腕と，逆に歪曲を生かしていく必要があるのだなと思いました。 〜DiMAGE A1 vs Cyber-shot F828〜 DiMAGE A1とCyber-shot F828。値段がほぼ同じ上に，同じ本格撮影用コンパクトタイプ（レンズ一体型）という理由で，まぁライバルとして取り上げられています。そこで，２つのデジカメを比べてみたいと思います。 レンズについてですが，焦点距離は35mm換算で28-200mmで同じです。絞りは，ワイド時には１段，テレ時には半絞り分F828の方が明るいのですが，これはA1の手ぶれ補正で十分カバーできます。レンズ自体，F828がカールツァイスの「バリゾナ＊Ｔ」ですが，A1のGTレンズも評判がいいです。つまり，レンズに関しては同じレベルだと思います。 A1とF828の特徴は，次のようになっています。
実は，値段と本格撮影用コンパクトタイプ（レンズ一体型）以外では，この２つのデジカメはあまり共通性がないのです。A1は，手ぶれ補正とカメラらしいデジカメであること，F828は，カールツァイスの明るく実用域を網羅したレンズと810万画素４色CCDといったような特徴があります。つまり，カメラとしての操作性を重視するならA1になりますし，810万画素４色CCDというような家電的なスペックを重視するならF828ということになります。 あなたが，デジカメをカメラの側面から考えているなら，A1を持った方が幸せに感じることができるでしょう。また，デジカメを家電の一部（またはコンピューターの周辺機器）で，少し高性能なデジカメが欲しいと考えているのなら，F828を持った方が幸せに感じることができるでしょう。まぁ，それぞれのデジカメに対するスタンスの問題だと思います。 ２００３．１２．２３
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