FUJIFILM FINEPIX S100FS
☆FINEPIX S100FS 
〜FINEPIX S100FSについて〜デジカメの中では大きめの外観に，比較的大きな素子を搭載した，「ハイエンドデジカメ」「ネオ一眼」と呼ばれている機種です。最近ではFUJIFILMしか作っておらず，そのうちなくなるカテゴリーだと言われていましたが，FUJIFILMの意地なのか今年の２月末に新機種を発売しました。それがFINEPIX S100FSです。 「ハイエンドデジカメ」「ネオ一眼」は，2003〜2004年に最盛期を迎え，当時ほとんど全てのメーカーがフラッグシップ機として発売していました。普通のデジカメより大きな外観に，大きな素子(2/3型CCDが多かった），28〜200mmを中心とした日常使うのにちょうどいい焦点域を網羅したレンズ，値段も発売価格で１０〜１６万円と高価なものでした。ただ，最盛期の2003〜2004年はデジ一の普及機の発売と重なり，瞬く間にデジ一に取って代わられ，2005年にはほとんど消えてしまったカテゴリーです。FUJIFILM機以外では，ほとんどのメーカが2004年末以降出しておらず，ソニーが2005年11月に出したCyber-shot DSC-R1という機種がFUJIFILM機以外では最後になります。ただこれは，デジ一と同じAPS-Cサイズの素子とハイエンドデジカメを合体したような性格のカメラで，デジ一とハイエンドデジカメの中間のようなカメラでした。 ハイエンドデジカメが瞬く間にデジ一に取って代わられた理由は，その頃出始めたデジ一の普及機と値段がさほど変わらず，「同じ値段なら，素子が大きいのでボケが得やすく，高感度ノイズも少ないデジ一の方が魅力的だ。」ということから，一気に萎んでしまい，ほとんど消えてしまったのです。そんな中で唯一このカテゴリーを守っていたのが，FUJIFILMです。(ただこれは，FUJIFILMが一応デジ一を売っていますが，オリジナルボディーのデジ一を持っていないのだからですが…。ちょうど，MINOLTAがハイエンドデジカメ機にこだわって，DiMAGE ７シリーズ A1 A2を出して頃と状況が似ています。） さてFINEPIX S100FSですが，「ハイエンドデジカメ」「ネオ一眼」の王道のような機種です。
FINEPIX S100FS(ハイエンドデジカメ）の最大の魅了は，レンズ交換をしないのでCCDにゴミがつく可能性が低く，また，同じような明るさで焦点域28〜400mmをカバーしようと思うと，複数のレンズを持って行かなくてはいけないのですが，これ一台で完結するということです。さらに，意外と述べられることが少ないのですが，光学ズームが手動式というのは重要なポイントです。電気式のズームだと，ズームを決めるときのレスポンスに違和感が…。やはり，自分の思ったところにすばやくズームを決めるには手動でないとと思ってしまいます。 ただFINEPIX S100FSも，値段がデジ一の普及機と被ることで色々言われています。その図式は2003〜2004年の最盛期の頃と同じです。価格.comの掲示板など見ていると，DiMAGE A1の時と同じように，デジ一と比べて画質やレンズ性能を色々言う人がいるわけで…。素子の大きさや，28〜400mmという高倍率ズームから考えれば，デジ一と同じ土俵で論じるものではないと思うのですが…。(ただハイエンドデジカメが終わったカテゴリーのせいか，DiMAGE A1の時ほど盛り上がりませんが…。まぁ，叩かれているうちが華とも言えますね。）FINEPIX S100FSは，そこそこの画質で，レンズ交換なしでだいたいの撮影が１台で完結できるのが売りのカメラです。とことん突き詰めてこの機種以上の画質にこだわるなら，デジ一に行くしかないでしょうね。ただそのためには，FINEPIX S100FSの数倍の投資と重さに耐えないといけませんが…。 〜購入経過〜 本当の意味でDiMAGE A1の後釜として購入しました。PowerShot G9のページにもDiMAGE A1の後釜と書いてありますが，Ｇ９がA1の代わりにならず，FINEPIX S100FSを購入しました。 DiMAGE A1は，GR DIGITALUを購入してからその大きさが気になり出したことと，RAWで撮ってSILKYPIXで調整・現像してやれば素晴らしい画像になるのですが，JPEG撮って出しでは緑被りがひどくてどうしようもない画像になってしまうことからドナドナし，その代わりにＧ９を購入しました。（あと，本格的な撮影は専らEOS5D持ち出すことが多くなっていたことも，A1を売った理由の一つです。） A1の買い換えた時には，2/3型ＣＣＤ機がなく，大きさが気になって買い換えるので「ハイエンドデジカメ」はパスとなりました。そして，
ところが，DiMAGE A1を売ってしまい手元にないと，A1の有り難さが身にしみて分かるわけで…。もう一度A1を手元に戻したいと思うのだけど，中古で買うのは…。そう思っていた１月のある日，私の希望である，
という部分をかなえてくれる機種の発売記事に目がとまりました。FUJIFILMのFINPIX S100FSという機種です。それから１ヶ月，FINPIX S100FSを買うか，やめるか考える日々…。というのも，冬のボーナスでGR DIGITALUとＧ９を買ってしまったため，短い間に３台買うのはという気持ちと，値段も９〜１０万円するのでちょっとと思ってしまったのです。一方，A1を売ってしまい，ハイエンドデジカメがないことの不満もありこの際無理してでも買ってしまおうという気持ちもあり…。で結局，いつものように「欲しい→欲しい→何とかなるだろう→買おう！」ということで発売日の前日の夜に決定し，発売日(実際には前日に手に入れた人もいるみたいですが…）に買ってしまいました。 〜FINEPIX S100FSの使用感〜 このような機種はDiMAGE A1で慣れているので，多少の操作の違いには戸惑いましたが，撮影の基本の部分は同じなのですぐに慣れました。やはり，手動ｽﾞｰﾑ，EVF，2/3型CCD(個人的に2/3型ファンなので…）はいいです。 どうしても前機A1と比べてしまうのですが，まず良い面を…。 ☆良い面
☆頑張って欲しい面
〜FINEPIX S100FSの画像〜 FINEPIX S100FSの大きな特徴の一つに，ワイドダイナミックレンジがあります。これはダイナミックレンジを拡張する機能で，拡張なしが100%，拡張する場合は200％，400％，あとカメラが撮影シーンに合わせて自動的に拡張してくれるオートがあります。下の写真は，同じ場所をダイナミックレンジ100％，200％，400％，AUTOで撮影したものです。
電灯の背後に太陽がくる状況で撮影したもので，もろ逆光の厳しい条件の写真です。電灯のまわりを見てもらうと分かるのですが，ダイナミックレンジ100％では白く飛んでしまった部分が，200％ではかなり減っています。200％と400％では分かりにくいかも知れませんが，400％の方が少し白飛びが押さえられています。と，同時に100％→200％→400％と画像が眠くなります。AUTOですが，今回は200％くらいに設定されたようです。 ダイナミックレンジ拡張には，いろいろ制約があります。まずは，フィルムシュミレーションがPROVIAの時にしか自由に設定できません。他のフィルムシュミレーションでは自動的にAUTO設定になってしまいます。これは，ダイナミックレンジ拡張と連携して，それぞれのフィルムシュミレーションの色やコントラスト，階調などを再現しているからだそうです。スタンダード設定であるPROVIAは，ダイナミックレンジ拡張100〜400％全てに対応して再現出来るそうですが，他のフィルムシュミレーションでは，撮影者がダイナミックレンジ拡張を自由に設定することで，フィルムシュミレーションで設定したフィルムの特徴である色やコントラスト，階調の再現が崩れてしまうことを防ぐため，撮影者がダイナミックレンジ拡張を自由に設定できないAUTO設定になっているそうです。 また，最低感度が100％の時は制約はないのですが，200％の時はISO200，400％の時はISO400に感度アップをします。オートの場合，設定した感度によって拡張の幅が決まってくるみたいです。つまりISO100なら100％，ISO200なら100〜200％，ISO400なら100〜400％という設定みたいです。 このダイナミックレンジ拡張のしくみは，露出は設定感度に沿って行い，実際のCCDの感度は設定感度より感度を下げて行いアンダーの画像を作ります。その後，カメラ内でシャドー・中間部の明るさを持ち上げ，ハイライト部はそのままにしているのです。簡単に言うと(実際にはもっと複雑な感度操作，露出操作をしていますが…），ダイナミックレンジ400％の場合，ISO400の設定で露出を測光し，その値で撮影するのですが，CCDの感度はISO100に設定されているのです。そうして撮ると，当然アンダーの画像が出来るのですが，その後，カメラの画像エンジンによって，シャドー・中間部が持ち上げられ，ハイライト部のところはそのままにして白飛びを防いでいるというわけです。つまり，白飛びしそうなときにアンダー気味で撮っておき，Photoshopの「シャドー・ハイライト」でシャドー部を持ち上げるという作業を，カメラが全てやってくれているのです。ですからダイナミックレンジ400％の場合，このカメラの最低感度がISO100なので，400％の効果を出すためにはISO400の露出設定で撮影しなくてはいけないので，ISO400より下の感度の時にはISO400に自動的に感度アップしますし，また，あとでシャドー・中間部を持ち上げているので，どうしてもコントラストの低い眠い絵になります。それに，ダイナミックレンジ拡張をするとノイズがのるというのも，シャドー部を持ち上げているので暗部ノイズが出やすいためだと考えられます。 この機種の大きな欠点なのですが，ダイナミックレンジ拡張によって自動的に感度アップをした後，設定を元に戻しても感度は元に戻りません。例えばISO100でダイナミックレンジ拡張を100％から400％にすると，自動的に感度がISO400になります。その後，ダイナミックレンジ拡張を100％に戻しても感度はISO400のままで100には戻りません。結構，感度を戻し忘れて，「あれ？えらくシャッタースピードが速いな…。」ということになります。フォームアップで改善してくれるとありがたいのですが。 次にもう一つの大きな特徴である，フィルムシュミレーションについて。これはフジフイルムの製造しているポジフィルム(PROVIA，Velvia，ASTIA）とネガフィルムに近いの色調を再現したものです。(ポジフィルムに関してはそのままの名前が設定名に，ネガフィルムはPORTRAITという設定名が付いています。）このカメラの基本色調は，銀塩フィルム(ポジフィルム）と同じでPROVIAを基本としており，スタンダードとして扱われています。下の写真は，それぞれの色調(フィルムシュミレーション）で撮った写真です。
それぞれのフィルムの特性がよく出ているのではないのでしょうか。オールマイティーな「PROVIA」，鮮やかさ命の「Velvia」，落ち着いた色調と滑らかさを感じる「ASTIA」と言った感じでしょうか。 ただ，それぞれのフィルムシュミレーションの設定によって最低感度に制約が出てきます。これは，上記のダイナミックレンジ拡張(ワイドダイナミックレンジ）のところで述べましたが，フィルムシュミレーションがダイナミックレンジ拡張と連携して，それぞれのフィルムの色やコントラスト，階調を再現しているためです。どのダイナミックレンジ拡張でも対応できる「PROVIA」はISO100から，コントラストが高く，鮮やかでメリハリのある「Velvia」はISO100から，ダイナミックレンジの広さによる懐の広さが特徴の「ASTIA」「PORTRAIT」はISO200からとなります。 また，ISO100で「ASTIA」「PORTRAIT」に設定すると，自動的に感度がISO200へアップしますが，これまた設定を「PROVIA」「Velvia」に戻してもISO100には戻らず200のままです。 レンズの焦点距離(35mm換算）と開放絞り値の関係を表にしてみました。焦点距離はレンズの目盛りの数字に対応させています。(100mmだけは105mmの位置で測りました。）このレンズ，特別明るいわけでもなく暗いわけでもないレンズですが，14.3倍の高倍率ズームとしては頑張っている方ではないでしょうか。 絞りに関しては，マニュアルだとF11まで絞れますが，シャッタースピード優先，絞り優先，プログラムオートだとF8までしか絞れません。ただ絞りすぎると回折による小絞りボケがみられるため，，ワイド端ではF2.8〜F4，テレ端側でF5.3〜F6.4の時が最もよい結果が得られるようです。ある人がFINEPIX S100FSの素子から回折限界値を計算したところ，だいたいF6.7だそうです。ということは，やはり絞ってもF6.4までということになるでしょうか。F7.1以上は緊急用ということになります。 シャッタースピードに関しても設定によっていろいろ制約があり，マニュアルだと３０秒〜1/4000まで使えますが，シャッタースピード優先だと４秒〜1/4000秒，絞り優先・プログラムオートだと４秒〜1/2000秒までしか使えません。 
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２００８．３．１５ |
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